子供歌舞伎に曳山曳揃え!「お旅まつり」を楽しもう
「お旅まつり」は小松市で毎年5月に行われている、莵橋神社(うはしじんじゃ)と本折日吉神社(もとおりひよしじんじゃ)の春季例大祭。
曳山で子供たちが熱演する「子供歌舞伎」やライトアップされて黄金色に輝く「曳山曳揃え」で知られており、イベントも多数開催されるなど、毎年多くの観光客でにぎわいます。
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「お旅まつり」の名前の由来「お旅」ってどういう意味!?
「お旅まつり」は、1640年頃に莵橋神社と本折日吉神社の神輿が巡行の際、加賀前田家三代前田利常が隠居した小松城門前へ赴き、藩主前田家の平穏と武人としての命運が長く続くことを祈願し、それぞれの御旅所(おたびしょ)や氏子の住む各町を渡御(とぎょ)して回ったことが始まりとされています。神輿が氏子町内を練り歩くことを「旅する」と言ったことから「お旅まつり」と呼ばれるようになりました。
「お旅まつり」に重要な曳山の歴史
「曳山子供歌舞伎」の舞台となる曳山は、1766年に近江長浜の曳山を模して造られたといわれています。最初は簡単な移動式舞台のようなものでしたが、1776年に、長浜(現滋賀県長浜市)の古い曳山を買い受けることになり、小松の大工たちによって改良され、原形をとどめないほど小松独自の形に仕上げられました。
こうしてできた曳山が松任町の高楼式のものだとされ、他の町でも次々と高楼式の曳山が造られるようになり、ついに曳山は10基に。残念なことに、二度にわたる昭和の大火により松任町と東町のものは焼失し、現在は8基となっています。
現存する8基の曳山は小松市指定文化財、お旅まつりの曳山行事は石川県の無形民俗文化財に指定されています。
橋北と橋南を超えた「曳山八基曳揃え」
旧小松町を東西に流れる九龍橋川を境に、北側は「橋北」、南側は「橋南」と呼ばれます。これは、かつて九龍橋川が城下町の東辺を南北に流れる新町堀とともに、城を中心とした城下町を囲い防御する「惣構」だったことから、大きく「城内」と「城外」を分ける境界であったと考えられています。
川の北側には「莵橋神社」、南側には「本折日吉神社」があるので、両社の祭礼範囲も川を越えないかたちで催行されていましたが、市制50周年の1990年に九龍橋川の川沿いにある京町交差点で初めて曳山が八基曳き揃い、その後も川を越えて小松駅や小松市役所前などで曳揃えが行われています。
各町の曳山を紹介します!
小松にある曳山を紹介。それぞれの個性的なデザインを見比べてみましょう!
- 材木町
- 江戸後期の九谷焼の名工・栗生屋源右衛門が描いた15枚もの花鳥図が格天井に組み込まれています。1990年に大修理を行い、組み物にも金箔が施されました。
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- 西町
- 1790年に、加賀藩の名匠・山上善右衛門の流れを組む大工の棟梁・藤山清九郎が建造したことが、曳山土蔵から発見された棟札で確認されています。唐門式の風格ある様式美が見事な曳山です。
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- 京町
- 1792年建造。大正初年には京町出身の彫刻家・村上鉄堂の作品が、1959年には鉄堂の高弟で同じく京町出身の吉田楳堂の作品が「見送り」や「むしこ」の彫刻に加えられました。
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- 龍助町
- 二重屋根で四隅には龍の彫刻、天井には九谷焼の名工・松本佐吉による龍の墨絵が描かれています。螺鈿の部分は輪島塗の人間国宝・前史雄により塗り直され、2012年には雲板が修繕され、華やかな姿がよみがえりました。
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- 中町
- 1798年頃に建造されたと伝えられています。屋根下の組み物が極彩色で美しく、柱は青貝入りの研ぎ出しと、豪華。全体的に均衡がとれていて、実に優美で、見事な曳山です。
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- 寺町
- 1798年頃の建造で江戸時代の末に大聖寺藩主から賜った唐銅宝鐸が屋根の四隅に飾られています。天井には、寺町出身の名工・北市屋平吉による鳳凰図が描かれた工夫と趣向が凝らされている曳山です。
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- 大文字町
- 那谷寺造営に当たった加賀藩の名匠・山上善右衛門の流れを組む工人達が建造し、那谷寺本殿を再現したといわれています。床場と見送りの開き扉に施された、牡丹に唐獅子の彫刻は実に見事。
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- 八日市町
- 那谷寺の鐘楼をかたどった唐門式の二重屋根構造で、破風の扇垂木も特色があります。天井には九谷焼作家・北村隆によって四神が描かれ、薬師寺管主による日月の文字があります。
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「御神輿」も見どころ!千載一遇のチャンスに出会えるかも
両社の神輿は江戸時代から伝わるもので、共に小松市指定文化財になっています。
莵橋神社の御神輿は、祭り期間中の日曜日に氏子町内を渡御。本折日吉神社は、土曜日と日曜日の両日、御神輿と獅子舞が氏子町内を回ります。
両神輿が出会うことは本来ありませんが、唯一の接点が細工町交差点。ここは橋北と橋南をつなぐ交差点になっており、何年かに一度、日曜日のお昼頃に両神輿に出会えるかもしれないポイントです。
また、御神輿が休んでいるときに赤ちゃんをちょこんと乗せると「元気に育つ」とも言われているので、機会を見つけたらぜひ声をかけてみてください。
祭りを盛り上げる「獅子舞」
「お旅まつり」では、氏子各町から子供獅子が出ます。基本的に曳山子供歌舞伎の役者は女の子で、男の子が子供獅子として祭りを盛り上げます。各町により多少形態は違いますが、中学3年生が獅子舞の一切を取り仕切る世話役となり、小学校低学年が綱引き、小学4年生~中学1年生までが笛、中学生が太鼓、中学2~3年生が舞いを受け持ち、1ヵ月程前から稽古を重ねます。
龍助町では、子供獅子だけでなく大人が演舞する大獅子も舞います。獅子頭は、1801年に製作された現役では最も古いもの。
獅子に出会った際は、獅子に頭を噛んでもらうと「1年間息災に暮らせる」などのいわれがあり魔除けになると言われています。
お旅まつりの華「曳山子供歌舞伎」
250年の歴史を持つ小松の子供歌舞伎は、主に女の子が演じます。
役者に選ばれた子供たちは、3ヵ月前から台詞を覚え、1ヵ月前から歌舞伎の師匠とほぼ毎日稽古。一方で、大人たち(五人衆、若連中) はパンフレットの作成、衣装や道具の準備、上演中のサポートにと駆け回ります。
このように、江戸時代から伝統を守り伝えられてきた歌舞伎は、子供の芝居だろうと侮れないレベルの高さで、見物客からは歓声が上がります。
【2025年上演町】
■龍助町
芸題「玩辞楼十二曲の内 義士外伝 土屋主税(がんじろうじゅうにきょくのうち ぎしがいでん つちやちから)」
■八町こども歌舞伎
芸題「旅衣小松緑弥栄 義太夫 勧進帳(たびごろもこまつのみどりはいやさかえ ぎだゆう かんじんちょう)」
豪華絢爛!「曳山曳揃え」のクライマックスは必見!
お旅まつりの一日だけ各町の曳山がダイナミックに移動し、一堂に揃う「曳山曳揃え」。特にクライマックスは必見!ライトアップされ黄金色に輝く曳山を舞台に演じられる子供歌舞伎はまさに圧巻です。
【曳山曳揃え】
開催日:2025年5月10日(土) 15:00~20:00
会 場:細工町交差点(小松駅から徒歩10分)
会場・交通案内図
準備中
アクセスマップ
- 小松駅
- こまつ曳山交流館 みよっさ
- 細工町交差点
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